赤べこ発祥の伝説が我が柳津温泉のシンボル、福満虚空蔵尊圓蔵寺に由来することはご存知でしょうか? 10年前ならそのことをPRするのに費用もかかったことでしょう。今なら誰もがあたりまえのように、インターネットを通して情報を発信することができます。また、ブログの普及により今ではほとんどの業種の方が、自分の店のホームページをお持ちのようです。
私は7年前、地元商工会のインターネット体験で同業者のサイトを見て、今まで受けたことのないカルチャーショックを感じ、体中電気が走ったようでした。当時マウスも触ったことのないパソコンオンチの私は、すぐにノートパソコンを購入し、ネット環境を整え、なんとかホームページを開設したいと思って友人知人に相談しました。都合よく企業のホームページ制作室立ち上げのモニターに誘っていただき、4ヵ月後とりあえず形が出来上がりました。
前途洋々のはずが、実はそこからが挫折の連続でした。毎日毎日誰にもそのページは見てもらえず、まして宿泊予約など一件もなく、日々悲しい思いをしていました。何度となく壁にぶつかり試行錯誤を繰り返し、先輩の旅館や先進のホテル経営者を訪ねたりと必死でした。
その後、若おかみの日記が新聞社や漫画家の先生の目にとまり、エッセイを連載したり少女マンガのモデルになったりと、少しずつですが好転してきました。そのころから、私たちの宿を一番楽しんでくださるお客様はいったい誰なんだろうと考えるようになり、アンケートなどを集計してみると、30代から40代のお子様連れのご家族のお客様と判明し、以後宿泊プランを改良したり、家族で楽しめる企画を考えるようになりました。
また、私たちの宿の弱みと強みを全面に出すこと、つまりウィークポイントとセールスポイントを強調することで、ターゲットとするお客様に的確にアピールでき、少ずつですが強力なリピーターのお客様が増加するようになりました。
開設当初は「どうしてこんな小さな宿なのにホームページを作るの?高級な宿とまちがえられるんじゃない。」と周囲に心配されたものでした。私とすれば、これだけ立地条件などが水準を下回り、本来ならパンフレットには記さないようなマイナスポイントまでもしっかりと表現し、そんな中で私たちの良さを少しでも探したかったのです。つまり勘違いで宿泊するお客様や”こんなはずじゃなかった”と思うお客様がひとりもいないようにしたかったのです。
「私たちの宿はここまでしかできない温泉宿です。もしご要望と違う場合は自信を持って、他館をご紹介いたします。」この姿勢のおかげでお客様の苦情やおしかりは、以前と比べて非常に少なくなりました。実はこのことが私にとっての小さな改革であり、ルネッサンスと位置づけることなのです。
パソコン苦手男がITのほんの一部分であるホームページ作成に携わることにより、途中で決してあきらめないこととデジタルよりもアナログ的な人と人とのネットワークが一番大切であるということに気づかされました。これからも背伸びをすることなく、身の丈にあったホームページづくりをし、門前町の歴史的文化的遺産や、会津人のぬくもりを伝え、もちろん「赤べこの由来」を今後も発信していきたいと思います。
第101期民報サロン執筆 塩田恵介会津柳津温泉「花ホテル滝のや」経営。河沼郡柳津町柳津在住、46歳。旅行会社に3年間勤務したあと家業を継ぎ、現在は多彩な分野の人を招いての講演会を毎月開催。趣味は観光ボランティアガイド。 |