私は会津柳津町で小さな温泉宿を営んでおります。長男である主人に嫁いで、今年で早十二年目を迎え、そして一男一女の母と、宿の「若おかみ」としての役割を担って日々奮闘しております。
今回私がこのサロンのお話をいただいたのは、ホームページで”若おかみの小さな日記”を毎日連載しているからということでありました。”日記”といっても実際の内容は、他愛もない毎日の子育てのお話や宿の仕事のお話、お客さまからいただくメールのお返事などが中心です。「毎日よく書くことがあるね」と友人に驚かれることもありますが、あまり肩ひじ張らずに平易な話し言葉風に書いているからでしょうか、なんとなくダラダラと思い付いたまま続けてきてしまっております。
さて、私どもの温泉街は県内においては風光明媚(めいび)な観光地として知られ、たくさんの参詣客が訪れる圓蔵寺(福満虚空蔵尊)があります。私たちにとりましては、四季折々の由緒ある行事とともに、普段の生活のリズムがここから作られています。
只見川に架かる朱色の大きな二つのアーチ橋や草色のつり橋、そして朱塗りの欄干の清姫橋などたくさんの橋が目に飛び込みます。そして眼前には、京都の清水寺のような大きな舞台を誇る圓蔵寺がそびえております。この舞台からあたりの景色を眺めますと、対岸にはポッカリ浮島のような私のお気に入りの瑞光時公園があります。それぞれがうまく風景に溶け込んで、すてきなハーモニーを奏で「まるで箱庭のような温泉街」を醸し出しているのです。
山紫水明でとうとうと流れる只見川は、朝晩の時間帯によって、なんと大分県の湯布院のように、霧があたり一帯を埋め尽くします。毎日ここで暮らしているとなかなか気付かないことですが、この川面にかかる幻想的でロマンチックな川霧を最大限PRすべきであると昨年からお世話になっている観光プランナーの菅原由美子先生に教えていただきました。
またお寺を中心として千二百年の歴史のある門前町には、有名な「あわ饅頭(まんじゅう)」や「くり饅頭」のお菓子屋さん、駄菓子屋さん、「赤ベコ」や「微細彫り」、そして桐げたなどの桐製品などたくさんのお土産品があります。
私たち柳津のこの素晴らしい自然を、どうしたらもっと多くのお客さまにきちんと宣伝できるのか、どんなふうにPRしたら効果的なのかと思案しています。
そんな時、三年ほど前から国際エコノミストの奥崎喜久先生とご縁があり、出会いました。まるで私と主人のセラピストのように、心の中を軽くして下さり、問題解決の糸口をどんどん探して下さいました。例えば私は、どうして「赤ベコ発祥の地」でありながら知名度が低いのでしょう、といつも考えておりました。そんな素朴な疑問や広告宣伝の難しさを先生に教わったりしています。
特に旅館業について申しますと、もう私たちだけの経験やパワーでは、おしなべて限界があるように思われます。お二人の先生が共通して教えて下さるのは、「地域ナンバーワン」ではなくて「世界オンリーワン」を目指すんだということです。大きさや量やその設備を誇る前に、考えなくてはいけないキーワードは「ひと」であり「品質」であり「愛」ということです。果たして本当にお客様側から物事を見ているか。目線や視点がお客様側からになっているだろうか、それこそが一番大切なんだと教えて下さいました。
■頂いたコメント
第85期民報サロン執筆 塩田美紀会津柳津温泉「花ホテル滝のや」若おかみ。河沼郡柳津町柳津在住、35歳。現在同ホテルのホームページ上で『若おかみの小さな日記』を日々更新中。洋裁などが趣味。 |